LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■森の中で
○Side 奈穂

『お世話になりました!』
『元気でな!』

空が赤くなる頃、私達は施設を後にした

『こんなに早く帰っていいんですか? せっかくの再会なのに…』
『いいって 仲直りできたから、いつでも来れるし』

少しはにかんだように笑う洋くん
私はそんな彼の胸元をグイッと引っ張った

そして唇にそっとキスをする

一瞬触れただけの…
でも想いを込めたキス…

『…ッ好きです!』
『…………』

突然の事に洋くんはキスされた顔のまま完全にストップしていた

『よ、洋…くん?』

まさか私の勘違いだったかも…
何だか不安になってきて、洋くんの目の前で手をヒラヒラさせる

すると無言のまま洋くんは私の手を掴み、草むらに押し倒した

『ちょッ 洋くん?!』
『夢かも知れねぇ… ちょっと確かめさせて…?』

そう言いながらスカートに手を入れる

『や…洋くんッ…!!』
《バチーン!!!!》

大きな音と共に飛んだ平手打ちで、洋くんの体は少し宙に浮いた…気がした





『…ありがとよ… すっげぇ痛くて現実感あるわ』

洋くんは赤く腫れた顔を手で押さえながら、トボトボと私の後を追う

『外でしようとするなんて最低です!』

私完全にご立腹
洋くんなんか置いてスタスタ歩く

洋くんはそんな私の手を引くと後ろから強く抱きしめた
そして一緒に地面に倒れ込む

『だからッ 外は嫌ですって!』
『…愛してる…』
『そんな事言われても嫌なものは………え?』

いま…何て…

驚いて振り返ると、そこにはいつもの余裕そうな顔はなく今にも泣きそうな男の子がいた

『な…泣かないでくださいよ…?』

そう言う私も涙が込み上げてくる

『…愛してる…』

強く抱きしめ…
壊れたラジカセのように何度も何度も繰り返した

『あ…たしッ……い…てる…ッ』
『…泣いてて聞き取れない…』
『私…もッ 愛し……る…』
『解んない… もう一回言って?』
『私もッ…愛してる…からぁ…ッ』

洋くんは痛いくらい、強く抱きしめてくれる

『俺、耳悪いみたい… 何度でも言って…?』

うん…
一生…聞かせてあげる…
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