LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■最後の雪

『よッ…洋くん?!』『洋?!』

昼休みに1組に来た奈穂と理香は俺を見るなり目を見開いて固まった

『奈穂達の言いたい事は解ってる…が、しかし理由は聞くな…』

もちろん額のコブの話だ

『わ…私のせいですよね…』

泣き出しそうな声で言う奈穂
俺はそんな奈穂の手を引いて肩を抱いた

『違うって、そんな事で別れたいなんて言うなよ?』
『い、言わないです…ッ』

真っ赤になって俯く奈穂の頭を「いい子いい子」と撫でる

こんなに可愛いなんて…
困ってしまう


『『ば…バカップル…』』

それを見ていた和之と理香はシラけた目で声を揃えた

『羨ましい?』

俺が意地悪に笑うと、和之はそ~っと理香の肩に手を伸ばした
しかしすぐに理香の手で抓られてしまう

『和之… お前、誰でもいいんか…』

呆れて苦笑する

『とりあえず可愛ければいい』
『可愛いんだって理香、よかったな…』
『あんたらムカつくんだけど…』

理香はツンッとそっぽを向いた
奈穂はそれをクスクスと笑って見ている


『…雪…』

そっぽ向いた理香はポツリと呟いた
窓の外には白い粉雪…

『ホントだ…』

和之も奈穂も雪に見とれている

俺は指先を開いて窓の外に出した
サラサラの雪は手に落ちた瞬間に水に変わる

『これで冬も終わりだな…』

もう積もる事のない雪…
この雪が止めば冬が終わる

『もうすぐ3年生か…』

ポツリと呟く和之

『和之は来年も2年だったりして』
『不吉な…』
『そうならないよう最後のテストくらい頑張ってくれよ…』

雪が止んだ
通り雨のように…

一生忘れる事のない17の冬…

俺は人を愛する事を知った
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