LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■不自然な笑顔
○Side

【距離をおこう】

あの言葉から全てが変わった

私の隣に貴方はなく
貴方の隣に別の人がいる

ねぇ、どうなってるの?



『もう最ッ悪!!』

理香はそう言いながらドスンっと席に座った

『…どうしたの…?』
『洋の奴、「奈穂は元気?」なんて平気な顔して言ってんの!』

平気な顔して…?

「愛してる」って言ってくれてたのに…?

『ふッ…ぅ…ッ……』

無意識のうちに瞳からはポタポタと涙が落ちた
手を滑り落ち、机に落ちた涙は木の色を変える

『愛してるってッ……言ったんだよ?! なのに…ッ』

クラス中の人間が振り返るのも気にせず、私は机に顔を着けて泣いた

『奈穂…ごめッ……私…』

貰い泣きというに等しい理香の涙

せめて理由くらい欲しかったよ…




涙の流しすぎだろうか
目が腫れすぎて視界が悪い

『奈穂って不細工かも…』

そう言う理香も負けず劣らずの顔
私達は顔を見合わせて笑った

『帰ろっか!』

理香は不細工なその顔でニッコリと笑って立ち上がる
私も立ち上がって理香を追った




教室を出てしばらく歩いていくと、廊下の向こうから2人組が歩いてくるのが見えた

『洋…くん…』

それは私が見間違えるはずがない人物…
隣には出会った時と同じよう、綾先輩がいた

『…ッ』

嫌だ…
こんな顔、見られたくない
そう思っても距離は縮まっていく

そしてすれ違う手前…

『…え…?』

一瞬だけ…
彼が笑った…



『何あいつ! 私達の顔見て笑わなかった?!』

理香も気付いたようで声を上げる

『……違う…』

今のは馬鹿にした笑いじゃなかった
もっと悲しくて辛そうな顔…

何で?
何であんな不自然な顔するの?
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