LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■積雪の朝
○Side 奈穂

雪が白く輝く道を歩く
元々、都会育ちの私は雪をあまり見た事がなかった

嬉しくて雪に足を埋めながら歩いていくと踏切の遮断機が下りてきて足を止められる

その時、後ろから彼が現れた

『おはよ』

それは勿論、真中くん…

『おはようございます』
『ったく雪なら電車止めろって感じだよな』

眉間にシワを寄せ理不尽な発言をする真中くんは妙に自然で思わず笑みが漏れてしまった

『でも雪の中を走る電車って凄いですよね 私、あまり見た事なくて…』
『って事は奈穂は地元の人じゃない?』

優しく笑う真中くんに少し頬が染まる
自分でも顔が熱くてわかった

『はい 1年前に引っ越してきたんです』

気付かれないよう俯くと、同時に頭を真中くんに押されてしまう
しかも2回…

『な、何ですか?』
『…さぁ? 何だろうね』

また、あの口癖…
彼は説明しきれない時や説明したくない時「さぁ」を使う

きっと私がキスの理由を聞いても口癖が返ってくるんだろうなぁ…

『っあー… 眠い…』

と突然、大きな口を開けて真中くんがそう言った

『あ… クマ…』

よく見ると目の下には薄いクマが…

『クマありますよ? 寝てないんですか?』
『うん 昨日の夜さぁ…っと、ごめん』
『はい?』

何だろう
何か言いかけたような…



遮断機が上がり始めた時、真中くんは左右確認もせずにスタスタと歩き出す

『待っ…ッ』

早い…
とてもじゃないけど追いつけない

諦めてペースを戻すと、同時に真中くんは足を止めた

『ついてこなくても道わかるだろ?』

冷たい言葉…
でも…笑ってるよね…?

『はい… すみません』

気のせいかな…

少し残念に思いトボトボと歩き出す
しかし遅い足でもいつの間にか真中くんの隣に追い付いてしまった

『遅すぎ… いつもそれで間に合ってんの?』

真中くんの歩幅は何故か狭い…

もしかして…
合わしてくれてる?
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