LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■頭に響く声

時は9月
3年生になって5ヵ月が経つ

『あ、今日で奈穂と付き合って8ヵ月だ』

俺は黒板に書かれた日付を見てポツリと呟く

『洋らしくねぇ… 数えるなよ、そんなん…』
『悪かったな…』

初めて好きになった女と付き合ってんだ
どうしても女々しくなってしまう

確かに自分らしくないとは思うけど、それはそれで楽しい

『つか、誕生日の方を忘れてない?』

そう言って苦笑する和之

『…誕生日って…和之の?』
『お前だよ! 9月4日だろ?!』

そういえば…
すっかり忘れてた

誕生日か…
施設にいた3年間は賑やかだったな

クラッカーや紙の輪っか
ケーキにジュース

はしゃぐチビ共

でも去年は1人だったと思う
久しぶりに1人で過ごした誕生日は何だか味気なかった



【許して…洋…】
『…ッ』

頭の中に突然、響く声
女…?

『洋? どーした?』

【1人は嫌なの…だから洋も…】

『洋? 気分悪いのか?』

和之の声が遠く聞こえる
こんなに近くにいるのに…

少し手を伸ばすだけで和之に触れられる
それなのに声が水の中みたいに遠いんだ…
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