LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■猫の成長と共に

俺ね…
初めて好きな人と過ごす誕生日ってのを、少しは期待してたわけよ

『なぁ~んで和之と理香がいるかなぁ?』

俺は奈穂の部屋に我が物顔で居座る2人を指差した

『あの…ッ 人数が多い方が盛り上がると思って…』

奈穂は恐る恐る上目で見る
そんな奈穂の腕を引いて一度、部屋から出ると扉をパタンと閉めた

と、同時に唇を重ねる



唇が離れると奈穂はカクンと膝を折り、床にペタンと座り込んでしまった

『…夜は?』
『え…?』
『夜は2人で過ごせる?』

そう言って奈穂の前に座ると突然、唇を重ねられた

『…な…ッ』
『2人は…下で寝てもらいますから…』

って事は泊まってくんだな…

『…まぁ、いいか…』
『ごめんなさい…』

申し訳ないというように俯く奈穂
俺はそんな奈穂の頭をそっと撫でた

『いーよ。 夜、奈穂が大きな声出さなきゃ…』
『そ、それって…』
『誕生日のプレゼント…かな?』

誕生日なんだもの
それくらい、くれたっていいだろ?




部屋に戻ると、中では理香と和之がお菓子を食べながらコチラに背中を向けている

『何してんの?』

不思議に思って覗くと、和之が猫にポテチを差し出していた

『猫なんかキャットフードしか食わねぇだろ…』
『でもトラさっきからボリボリ食べてるよ?』
『…マジで?』

よく見るとトラの口元にはポテチのカケラが…

『そーいや、この猫って洋が拾ったんだっけ?』
『まさか、俺は飼えないから見てただけ…』

確かあれは彼女と別れた日だったな

冷たい雪が降って、道路は真っ白だったっけ…

【もらってもいいですか?】

雪に負けず劣らずの真っ白な手が伸びてきた

『今考えるとトラのお陰なんだよな… 奈穂とこうしていられるの…』

あの日、小さかった猫が大人になるように…
俺達の気持ちも少し大人になった

『あんがとな…』

ポツリと呟くとお菓子で汚れたトラの口元を指で拭った…
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