LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■記憶の糸口

『HappyBirthdayっ!』

3人の言葉と同時、クラッカーが鳴り響く

『ケーキは私と理香が作ったんですよ!』

奈穂は照れ臭そうにケーキの箱を開けた
中には左右のデコレーションが微妙に違うケーキが…

『左が理香だろ、下手だから』

俺は意地悪に笑うと理香を見た

『残念ながら、そちらは貴方の恋人がやりましたが…』
『…奈穂が…?』

一同、ケーキと奈穂を見比べて苦笑する

『ご…ごめんなさい… 少しでも自分でやりたくて…』

真っ赤になって俯く奈穂に俺も和之も、ついつい口元が緩んでしまった

『でもこっちのクリームにはあまり砂糖使ってないんですよ? 洋くんが甘いの苦手って言ったから…』

そう言われ、左側のクリームをフォークで取って口に入れる
確かに甘みが遠い…

『ありがと、これなら食べられる!』
『よかったぁ…』

奈穂は安堵の笑みを浮かべると、早速ケーキを切り分けた

シャンメリーもついで俺達は時間を忘れ大いに盛り上がる



気付けば時計の針は10時を指していた


『理香、一緒にお風呂入ろっ!』
『うん♪』

奈穂と理香は笑顔で手を振って部屋を出ていく

その後で和之がフゥと息を吐いた

『溜め息?』
『いや… 女っていいよな~って思って!』

ゴロンと寝転ぶ和之に俺も同じように横になる

『だって俺が相模や理香ちゃんに「風呂入ろ」って言ったら怒られるだろ…』
『…』
『相模だとあんな気楽に誘えるんだもんなぁ… 女ってずるい』

それは俺と和之が一緒に風呂入るのと同じ事なんじゃ…
そう思ったが溜め息で止めといた

風呂…か…

ずっと心の中に引っ掛かってる場所
湯舟に顔を着けられない理由

【許して…洋…】

そしてあの声…

記憶の糸口はあそこにある…ような気がする…
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