LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■プレゼント

「今1番、何が欲しい?」

もし誰かがそう聞いてきたなら真っ先に答えるだろう

「過去の記憶が欲しい」と…

奈穂を好きになってからは強く願うようになった

記憶を失わなければ、もっと違う考え方や行動が出来るんじゃないか…

だったら今いる真中洋という存在は偽物なんじゃないか…
時々そう思う

記憶を取り戻した時、初めて本物の自分になれると思うんだ
だから…記憶が欲しい…



『んじゃ、おやすみ~♪』

和之と理香は笑顔で手を振り、階段を降りていった

『さてと…』

その後でフゥと息を吐き、ベッドに座る

『おいで? 奈穂…』

ようやく奈穂と2人きり
俺は奈穂に手を差し延べる

しかし奈穂はブンブンと首を横に振った

『…今日はしたくない?』
『そんな事ないですッ…ただ…』
『ただ?』
『先にコレを渡したくて…』

遠慮気味に出された手には小さな青い箱

『もしかして…用意してくれたの?』

思いもしなかったプレゼントにただ驚くばかり

『安物で恥ずかしいんですけど… 似合うと思って…』
『すっ…ごい嬉しい!』

あまりの感激に奈穂を抱きしめてベッドに倒れ込む

『開けていい?』
『はい!』

包みを破ってしまうのすら勿体なくて、丁寧に剥がしていく
奈穂はそんな俺を見てクスクスと笑った


『あ… ネックレス…』

箱の中にはシルバーのネックレス

『変…ですか…?』
『んーん、奈穂が着けて?』

俺は奈穂にネックレスを渡して下を向いた

『あの…前からですか?』
『勿論』

冷たい金属が首に当たる
緊張しているのか、奈穂は苦戦しているようだった

『出来た!』

ようやく着ける事が出来たと同時に、奈穂の唇を強引に奪う


『…ありがとー…』

今までで1番幸せなBirthdayだよ…?
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