LOVE･GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)

■死の意味

死にたい
死にたい
死んでしまいたい

それは母さんの口癖になっていた


１２歳の頃…
ふと「死」が気になった

「ねー、死ぬってどーゆう事？」

小学校の先生にそう尋ねると、先生は目を真ん丸にしてた

「洋くん… 死ぬって事はいなくなるって事なの」
「いなくなる？」
「そうよ、だから凄く悲しい事なの」

先生は悲しげにそう言うと、俺の頭をポンと押す


そうか…
悲しい事なんだ




「お母さん、死ぬのは凄く悲しいんだって いなくなる事なんだって」

新しく得た知識を人に教えたくて、俺は早々と家に帰った

「僕もねー、お母さんいなくなったら嫌だなぁ」


当時から父親はあまり家にいる人ではなく、生活のほとんどを母親と過ごしていた

だから母さんが死ぬ事は１人ぼっちを意味してた


「じゃあ洋… 一緒に死にましょうか…」
「え…？」
「１人は寂しいもの… 洋も一緒に…」


ねぇ、死んだ人はいなくなっちゃうんだよね

何処に行っちゃうの？
遠くに行くの？
それとも消えちゃうの？


「洋…？」
「僕……嫌だな…」

子供ながらに「死」を恐いと思った




それから数日経った深夜…
滝のように水が溢れる音がして、目を覚ます

『水…止めてなかったかな…？』

寝る前に洗面所で歯を磨いた
その時、蛇口を捻り忘れたかも…

そう思い、俺は真っ暗な部屋を出た