LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■消えてない?

《体調が良かったら学校においで いい気分転換になるよ》

早朝、目が覚めるとそんなメールが入っていた
差出人は「和之」

俺はベッドの足元に置かれた私服に着替えると、荷物をまとめた



病院からアパート
アパートから学校

知らない景色ばかりが流れる
それなのに迷う事なく辿り着ける

もっと妙なのが学校名も聞いていないのに、自分の学校が何処かすぐにわかった

まだ…
完全に消えたわけじゃない…


校門をくぐると、色んな人が声を掛けてくれる
気がつくと立ち話は長引き、始業時間が近付いてきていた

ふと見上げると、3階の窓に彼女の姿が見えた

『相模…』

何故、そんな事をしたのか解らないけど無意識に相模に手を振っていた

それなのに相模は両手で顔を押さえ、中に引っ込んでしまう



『…わけわかんねぇ…』

あからさまに避けられた事に対しての苛立ち
それをぶつけるように上履きを床に投げ付ける

放っておけばいいのに、放っておけない
あんな何処にでもいそうな女…

そう思いながら、転がった上履きを履こうとすると誰かが後ろから肩を叩いた

『おはよ、洋♪』
『あー…和之…?』
『正解! もう大丈夫?』

笑顔で言う和之は昨日と同じように手にギブスを着けている

『俺は大丈夫、悪かったね… 巻き込んで…』

確か聞いた話だと階段から落ちた俺を受け止めたって…

『俺が好きで手ぇ出したんだから気にすんなよ!』
『…ありがと…』

和之と会話するのは今で二度目
メールは受信しただけ

それなのに…

『何かさ、和之と話してると落ち着く…』

ずっと一緒にいたかのように違和感がない

『そりゃそうだ! 1年以上、毎日2人でいたんだから…』
『…そっか…』

不思議と違和感がないのは和之と話してる時にもあったし
病院であいつを抱いた時にもあった…
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