LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■存在否定

教室に入るとクラスの皆が笑顔で挨拶する

名前なんて知らないクラスメート…
それでも居心地がいいと感じた

『俺… やっぱココにいたんだ…』

記憶を無くしても自分は毎日いたんだと実感する



『真中! 相模が牧原って奴と付き合うって本当か?!』

放課になると、廊下側の席の男が立ち上がって近づいてきた

『さぁ…』
『おいおい、お前らいつ別れたんだよ~!』

男は呆れたように深く溜め息をつく

別れたどころか、付き合った記憶もないし
好き合った記憶さえもない


『…相模って何組?』
『4組だろ? 真中、いつも会いにいくじゃん』
『…そうだったな…』

「いつも」
その言葉に、つい笑ってしまう

超ハマってたんじゃん俺…
あの女に…



4組の教室に顔を出すと、まだ何も言ってないのに「今呼んでくるね!」と言われる

本当に毎日のように会いにきてたんだ…

しばらくして目を赤くした相模が姿を現した

『何か用ですか?』
『別にー… 新しい男見つかったって聞いたからさ』
『…余計なお世話です』

キッと睨む相模
俺はそんな相模の腕を引いて耳に唇を着けた

『…俺の事はもういいんだ…?』

そう言った瞬間、バッと腕を突っぱねられる
見掛けによらず力がある事に少し驚いた

『だったら…ッ 早く思い出してください…』

今にも泣き出しそうな相模の顔…

やっぱりだ
こいつといると苦しくなる

『そんなに「洋くん」がいいの?』
『え…?』
『じゃあ…俺って誰?』

「真中洋」と言う事すら認めてもらえない自分は誰?
ただ身体を借りてるだけの別人?

『体は生まれた時から俺のものなのに…俺は「洋」じゃないの…?』
『…洋くん…』

ようやくあの女の呪縛を解いても、相も変わらず存在を否定される

『俺はどうすればいいの?』


【何であんたがいるのよ…ッ】
俺はここにいちゃいけないの?
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