LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■まず一歩
○Side 奈穂

【俺はどうすればいいの?】

そう言われて初めて気が付いた
私が洋くんを1番、傷付けていた事に…

どうして認めてあげなかったんだろう
貴方は洋くんなのに…

どうして抱きしめてあげられなかったんだろう


『ごめんなさい…』

記憶を失って1番辛いのは洋くん
それをどうして気付かなかったんだろう

『俺と相模がどんだけ仲良かったか解らないけど… 俺があんたを好きだったのはよく解る…』

洋くんは少し寂しそうに笑い、話を続ける

『でも…まだそこまで対応できない』

その表情に思わず涙が込み上げてきた

『…あんたのそーゆう顔が気になるんだよ、俺…』
『ごめん…なさい…』

でも…
洋くんも泣きそうな顔してる

まるで鏡みたいよ…?


『なら… 今から私を見てもらう事…出来ますか?』

私は少し焦ってたかも知れない
「記憶を戻さなくちゃ」って…

『今の洋くんに好きになってもらう事…できますか?』

「私の洋くんを取り戻さなくちゃ」って…

『…努力する…』
『はい、よろしくお願いします!』

でももう、どうでもいい
隣で笑ってくれるなら、それだけでいい


『あんた…笑ってた方がいいよ…』
『あ… その台詞…』

【笑ってる顔が1番可愛いんだからさ…】

『前に洋くんも言ってました…』
『…へぇ…』

懐かしい言葉につい笑みが漏れる
そんな私の頬に温かく、大きな手が触れた

『その敬語って前の俺にも使ってんの?』
『はい… おかしいですか?』
『うん、普通に喋ってみな?』

今さら普通って…
ずっと敬語だったのに…

戸惑っている私に洋くんはフッと優しい笑みを見せた

『あんたが進まなきゃ、俺も歩けないからさ…』
『洋くん…』

そうだ…
まずは一歩、踏み出して行こう
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