LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■母の死の真相
奈穂…
君の言った事はハズレじゃない
『…俺が殺した事にすれば、楽になれると思ったんだ…』
俺はあの女にトドメを刺せなかった
「母さ…ッ 苦し…!!」
真っ赤な水の中、コポコポと酸素が逃げていく
もう駄目だと思った
もう殺されると…
そんな時、浴槽の縁(フチ)にキラリと光る物が見えたんだ
「…ッ」
それは自分の命を守る事が出来る唯一の道具
剃刀だった
「洋… 一緒に死のう…?」
遠くに聞こえる母の声
俺は剃刀を手に握り、声の方向へ思い切り振りかざした
「きゃあッ!!」
首筋にでも当たれば、それは致命傷となっただろう
だけど短い子供の手では、そこに届くまでに至らなかった
腕に1本、小さな切り傷を増やす
その程度でしかなかった…
それでも母の手は緩み、俺に逃げ場を与えてくれた
「洋ッ 待って! 待ちなさい!!」
自分を呼ぶ声を振り切るようにして、外へ飛び出す
階段を転がるように降りると同時、小さな声がした
「貴方まで…私を置いていかないで…」
幻聴かも知れない
だけどそれが母の最期となった
あの人が自ら命を絶ったという事くらい、もう解ってる
だけど…
『…あの人が自殺するなんて…信じたくなかったんだ…』
俺は「母の自殺」を受け入れる事が恐かった
奈穂…
君の言った事はハズレじゃない
『…俺が殺した事にすれば、楽になれると思ったんだ…』
俺はあの女にトドメを刺せなかった
「母さ…ッ 苦し…!!」
真っ赤な水の中、コポコポと酸素が逃げていく
もう駄目だと思った
もう殺されると…
そんな時、浴槽の縁(フチ)にキラリと光る物が見えたんだ
「…ッ」
それは自分の命を守る事が出来る唯一の道具
剃刀だった
「洋… 一緒に死のう…?」
遠くに聞こえる母の声
俺は剃刀を手に握り、声の方向へ思い切り振りかざした
「きゃあッ!!」
首筋にでも当たれば、それは致命傷となっただろう
だけど短い子供の手では、そこに届くまでに至らなかった
腕に1本、小さな切り傷を増やす
その程度でしかなかった…
それでも母の手は緩み、俺に逃げ場を与えてくれた
「洋ッ 待って! 待ちなさい!!」
自分を呼ぶ声を振り切るようにして、外へ飛び出す
階段を転がるように降りると同時、小さな声がした
「貴方まで…私を置いていかないで…」
幻聴かも知れない
だけどそれが母の最期となった
あの人が自ら命を絶ったという事くらい、もう解ってる
だけど…
『…あの人が自殺するなんて…信じたくなかったんだ…』
俺は「母の自殺」を受け入れる事が恐かった