LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■温室

放課後
理香の地図通りに奈穂の家へ向かった

『ここか…?』

赤い屋根の少し大きな家の前で足を止める

庭に止まっている自転車には「相模奈穂」と書いてあった

少し間を置いて玄関のインターホンにそっと触れる
すると中からは優しそうな女の人が…

奈穂に似ている
母親か…?

『真中と言います 奈穂さんのお見舞いに…』

そう言って頭を下げると奈穂の母親はニッコリと笑って家に入れてくれた

『奈穂に男の子の友達がいるなんて驚いたわ』
『…』
『仲良くしてあげてね?』
『はい…』

優しい母親…

そしてリビングの隣にチラッと見える書斎らしき部屋
仕事のデキる父親ってやつか

本当に温室育ちって感じだな…


2階の奈穂の部屋に案内してくれた母親は「ゆっくりしてってね」と言って下に戻っていった

木の扉を開けるとピンクと白がメインの室内が見えた

『ま、真中くん!』

そしてピンク色の布団の中には奈穂が…

『ピンクばっか 趣味悪ぃ…』

あえてラブホみたいとは言わないでおこう
また警戒されそうだから

『真中くんなんて白黒の部屋じゃないですか…』
『悪いかよ 色あると落ち着かないんだよ…』

色柄モノって何だか嘘くさくて好きじゃない

でもピンクは奈穂のイメージ通りでそれほど嫌いじゃないな

『また私に嫌がらせに来たんですか?』

奈穂は眉間にシワを寄せてこちらを見た

『さぁ?』

ただのお見舞い…
のつもりだったけどね

そこまで期待してるのなら何かしましょうか?

特に返答がない俺に対し不信に思ったのか、奈穂は布団を深くかぶった

過剰すぎる反応…

『俺もそこまで鬼畜じゃないっての』
『え?』
『病人は病人らしく寝てろよ』

本当に今日はお見舞いに来たのだから…

『暇だし、お前の携帯借りるね』
『なッ』

何気なく机にあった携帯を手に取る

『ちょッ やめ…!!』

すると奈穂は布団をはねのけ珍しく食らいついてきた

俺はそんな奈穂の唇に一瞬だけキスをすると不敵に笑う

『襲われたくなかったら言う事ききなさい』

これが1番よく効く魔法
奈穂は黙って何度も頷いた
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