LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■口移し

自分の携帯を閉じ、部屋の隅に置いておいた鞄の上に乗るように放り投げる

我ながら上手く乗ったつもり


ふと暇になって奈穂を見ると、奈穂は顔を真っ赤にして俺を見ていた

『何? タコみたいな色して…』
『え…?』

奈穂は何だかよく解らないと言うように首を傾げた

まさか…
熱が上がったんじゃ…

俺はすかさず奈穂の額に手を当てる

『さ…ッ 触らないでください!』

その手を払いのけ声を上げる奈穂

『…熱あるじゃねーかよ 薬飲んだ?』
『…飲んでないです…』
プーと頬を膨らませ、疑うように俺を見る

自覚症状無いのかよ…

『仕方ねーなぁ…』

半ば呆れたような溜め息をつくと、奈穂の頭を腕で抱えるように持つ

至近距離にあるお互いの顔…

奈穂はこれからされるであろう行為が何か解ったようだが、熱のせいか避けたりはしなかった

そして少し開いた唇が重なる

『んッ 何すっ…!』

ようやく力の入らない腕で抵抗を見せた

その抵抗に応えるようにキスを止める

だが奈穂との距離は5㎜も離れていないだろう

『風邪… 全部移しちゃえよ…』

どちらかが言葉を発する度に微かに触れるのだ…

いつもの奈穂なら必死に抵抗して離れるはず

しかし熱のせいか俺の舌が絡む事をすんなりと許してくれた

それどころか自分から「もっと」とねだるように首に手を回してくる

『風邪なんて俺が貰ってやる…』
『…真中…くん…』

こんなに丁寧にキスをしたのは、どれ位ぶりだろう

重なる唇や絡み付く舌…

奈穂が元気になったら、きっと受け入れてくれない

そう思うと勿体なくて、もっと深く舌を絡めた
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