LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■朝食

時刻は朝の6時…
体調はすっかり良くなっている

何度もした寝返りのせいか、奈穂が縛ったネクタイは枕元に落ちていた

代わりに手首に巻き付くのは、奈穂の長い髪…

きっと染めた事なんてないだろう
傷んだ様子もなく、サラッとシーツに落ちた

『飯でも食うか…』

まだ寝ている奈穂を起こさないようにベッドを降り静かにキッチンへ向かう


朝食…と言っても、いつもコーヒーを飲むくらいで食べ物は口にしない

しかし今日は違った

目玉焼きとベーコンを焼き、パンにジャムとバターを塗ってココアを用意

ココアのついでに自分のコーヒーも沸かした


『足りるかな…』

ポツリと呟くと同時、まだ眠そうな奈穂がキッチンへペタペタと入ってきた

『…朝からこんなに食べるんですか?』

奈穂は机に用意された朝食を見て驚く

『奈穂の朝食だよ?』
『え…?』
『女を泊めるなんて初めてだから何食うかわかんねぇし…』

彼女がいても、家に泊めた事は一度もなかった

なんせシングルベッド…
泊めたって狭くて眠れない

『早く座んなよ』

俺は自分の座っている目の前の椅子を足で押し、奈穂の座るスペースを作った

すると奈穂は小さな笑みを見せながらチョコンと腰掛けた


机に置かれたフォークを手に取り、ベーコンと目玉焼きを口に入れる

『おいしい…』
『だろ?』

と自信満々に言ってみるが、ただの焼いただけの卵とベーコンだよ

たいした物じゃない

『ありがとー…』

だけど本当に美味しそうに笑う奈穂の笑顔を見たら、何だか凄く嬉しくなった
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