LOVE･GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)

■理香の想い

『…理香は知ってるだろ？ 俺が手を出さない女がどんな女か…』
『…』
『…彼氏がいる女と… 俺に本気の女には手出さない』

理香にそう言い放った後、俺はハッとした
理香を傷つけたと…

『…ごめん…』

俺と理香が別れた理由がまさにソレだったからだ

『私と…同じ理由なの…？』

理香は今にも泣きそうな顔をして睨む
少しの衝撃でも涙が溢れそうだ…

『…奈穂は前者』

直樹がいるから解放してやった
理香とは違う…

『じゃあ…ｯ 洋の気持ちは?!』
『さぁ…？』

解んないんだよ、本当…
ただ今、奈穂を見ると辛い

『馬鹿洋…』
『…理香…』

俺の気持ちを代返するかのように理香の目から涙が零れた

手で拭いきれない涙は地面に落ち、アスファルトを色濃く変える


一歩…また一歩と俺の足は進む

理香の手前で足を止め、理香の小さな頭に腕を乗せた

『…本気の女には手を出さないんでしょ…？』

理香の皮肉に思わず笑みが漏れる

うん…
だから抱きしめてあげない

『ガキ… 大袈裟なんだよ』
『重大だよ… キスもした事ない女の子だもん…』
『んじゃ…良かったな… 俺とキスしなくて…』
『…うん…』

理香はそう返事すると涙を拭い俺を見た

『何？』

そして次の瞬間、伸び上がって頬にキスをする

『な…ｯ』

予想外の出来事に俺は足元をふらつかせ、手すりで背中をぶつけてしまった

『大袈裟！』

そう言って大笑いする理香に、またも拍子抜けしてしまう



「本気の女とは付き合わないようにしてるから…」

理香と別れる時…

「だって俺が本気じゃないの知ったら傷つくだろ？」

俺はそう言って理香に笑顔を見せた

最低な別れ方で別れた
理香が二度と近づかないように

俺なんかに引っ掛からないように…

それなのに…


『洋、ちゃんとした幸せ見つけなよ！』
『…うん…』

未だ想ってくれて…
ありがとう