LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■1位の条件
○Side 奈穂

トラックに戻った瞬間、問題が発生

『だから手は繋がなくていいんですってば!』
『盛り上がりに欠けるかな…と』

手を繋いで走るかどうかを真中くんと私はもめていた

『だって手繋がなきゃ誰がペアかわかんないだろ?』
『…』

そんな言葉に「なるほど」と思ってしまった自分がいた
翌々、考えれば意味不明な事だけど…

とにかく今は先を急がなくちゃいけない
私は差し延べられる彼の手を取った

『さぁ、1位になりますか!』
『っはい!』

ついさっき長距離を走ったとは思えないスピードで真中くんは私を引っ張っていく

気がつけば大差をつけ、私達はゴールラインを越していた

『よかったな?』

ニッと無邪気に笑う表情が眩しくて直視できない…

と、その時…
《まだゴールではありませんよ~!》
と、放送が流れた

『へ?』
《2人がキスをした時点でゴールとなります!》

な、何~?!
これ高校の体育祭だよね?!

ふと後ろを見ると2位が息を切らして走ってきた

『あの… 私、ゴールできなくていいですよ?』

そりゃ皆の為、1位になれたらって思ったけど…
真中くんには迷惑をかけたくない

そう思い手を離した私に、真中くんは優しく笑う

『…ここまできて最下位は悔しいよなぁ?』
『…え…?』

そして顔を近づけ、そっとキスをした

頬に…

『おい司会! どこにしてもいーんだろ?』
《は、はい! ゴール、ゴールです!》

大きな歓声と共に真中くんは地面に崩れるように座った

『わりぃ… しばらく歩けねーわ…』

へへっとバツの悪そうに笑う真中くん
私はその前に静かにしゃがみ、頭を下げる

『…ありがとうございます…』

本当に…
ありがとう…
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