LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■微妙な空気

合計10300m
正直、足は限界だった

上手く力の入らない足を引きずり、ベッドに倒れ込む

保健室はよく日が当たるのか、布団がフカフカだった

『まーなかっ♪』
『…』

…寝ようと思った途端、これだ…

窓から顔を見せた綾に俺は目で「帰れ」と訴える

しかし何の意味もなく、窓枠に足をかけて中に侵入してきた

『友達と弁当食ってこいよ…』
『うん、もうちょっとしたら行くよ♪』

おまけにちゃっかりとベッドの中で横に…

『ねぇ、静かにしてるから保健室にいていい?』
『まぁ…騒がなきゃいいよ…』
『じゃあ静かにしてる!』

綾は言い聞かせられた子供のように笑顔で手を挙げた

『ホント、年上に見えねぇ!』
『真中よりは大人だもん!』

プウっと頬を膨らます綾を羽交い締めにしてベッドに倒れ込む

『痛い痛い!』
『生意気言うからだ!』

お互いふざけ合いながらベッドで暴れていると突然、保健室のドアが開いた

『か、和之…』
と、奈穂と理香…

3人は目を真ん丸にして固まっている

『洋… お前、神聖な保健室で…』

1番に口を開いたのは和之
…って誤解だ!!

『馬鹿言うな! 俺も綾も服着てるだろ?!』

俺は勢いよく布団をめくって見せた


そんな事より1番気になるのは奈穂の反応…

恐る恐る見ると奈穂は無表情で立ち尽くしていた

最悪…


『真中、この人が和之くん?』

綾は1人、状況が把握できていないらしい

『そーだよ… 1年から仲いい奴…』
『そっかぁ! 和之くん、よろしくね!』

ニッコリ笑う綾に和之は拍子抜けしたのか口元が緩んでいた

『綾、友達と弁当食うんだろ? 早く行かなきゃ皆が食べ終わるよ』

俺は厄介払いでもするかのように綾の尻をポンッと押す

『やばッ また後でね!』

そうして綾は嵐のように去っていった
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