LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■嫌い
○Side 奈穂

彼女が立ち去った後、しばらく無言が続く
それを先に破ったのは和之くんだった

『洋、すごい可愛くてすごい元気な子だな』

和之くんは笑いながらベッドに座る

『だろ? 一緒にいて飽きないよ』

返答を返す真中くんも笑顔だった



限界だよ…
これ以上は聞きたくない…

私の前で彼女を愛おしむような顔…しないで…


『洋! 私達がいるの忘れてない?』
『あ゙…』

理香の言葉にハッとしたように私を見る真中くん

『なッ 奈穂! 俺達はいつもあんな感じだからさ!』

言い訳のつもり?

だったら「いつも」は要らない
余計に胸に突き刺さる

『ごめんなさい… 私、他で食べます…』

私は皆に涙を見せる前に保健室を立ち去った

もう嫌だ
もう辛い

私は浮気相手にすらなれない…
認めてもらえない…



『ック…ヒック…酷いよ…ッ』

グラウンドに繋がる渡り廊下で力尽きて柱に額をつけ泣いた

その瞬間…

『…悪かった… 無視して…』

聞き慣れた声と共に、温かい腕が背中から私を抱きしめた

『…真中くん…』
『無視して綾や和之と話してたのがムカついてんだろ?』
『え…?』

違う…
彼女といる所を見るのが辛くて…

でもそれは告白になってしまう…

『真中くんは…何で私に嫌がらせするんですか?』

私が言葉を発すると同時に彼は首筋に噛み付いた

『…ッ…』
『…嫌いだから… よくわかんねーけど気に入らないから…』

嫌い…?
嫌いだからキスするの?

エッチな事するの?

『でも目に入るんだよ… 奈穂が…』

ねぇ、解んないよ
< 86 / 200 >

この作品をシェア

pagetop