LOVE･GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)

■猫に重なる自分

駅前…
他人の家…
公園…

何処を探してもトラどころかトラ猫すらいない

あまり人に知られてない裏通りも覗くが、やはりいなかった


『馬鹿な奴… １人で生きられないのに…』


世の中に産み落とされ
身勝手な人間にダンボールに入れられ

そして最期は人間の操作する乗り物で…




こんなにも切なく思うのは自分に重なるからかも知れない


勝手に産み落とされ
不要になったら白い家へと移される

でも俺の最期は…？





『あいつ帰ってねーかな…』

捜し疲れ、アパートに戻る俺の耳に小さな子猫の声が響いた

『…トラ…？』

辺りを見回すと、ゴミ捨て場に薄汚れた猫が…


馬っ鹿…
せっかく母さんが洗ってくれたんだろ…？


『帰るぞ？ お前の母さん泣いてっから…』


俺は母親を知らない
白い家にいた先生が母親だと思ってる

トラ…
お前もいつか母親の顔忘れて、奈穂を慕っていくんだよな…