蒼空Letter

病室は空きがないって理由でラッキーな事に個室。

PCも使えるらしいからありがたい。


「ルウコ、必要なもの書いた?」


必要なものを書いたメモを渡す。


携帯の充電器。IPODの充電器。あたしのノートPC。

それとレターセット。



「2日しか入院しないのにすごい荷物ね。後でお父さんが持ってくるから」


「ちょっと!お父さんが用意するの?」


「そうよ?だってお母さん仕事だし来れるの夜だもの。何か嫌な事あるの?」


「レターセット!お父さんなら白い便箋と白い封筒だよ、絶対。だからお母さんが選んで買ってきて。夜でもいいから」



いつ入院してもいいようにお父さんの車にもお母さんの車にもあたしの入院道具が入っている。

今日はお母さんの荷物。それをベッドのそばのラックに入れながら文句を言った。


「レターセット、懐かしいわね。お母さんも若い頃文通とかしてたかも」


何だかうっとりして遠くを眺めている。


「あの、感傷に浸ってないで買ってきてよ?」


「いいわよー。会社で仕入れした中にレターセットあったのよ。ポップな感じで若い子が好きそうなの。それとフランスのはまさにフランスって感じだけど隅っこにエッフェル塔が書いてあってちょっと可愛いのよ。いっぱい持ってくるわね、「ソウちゃん」のために」


楽しそうに笑いながら言った。


「もー!一言余計なんだから。口も悪いしドSだし、お父さんもよくこんな人と結婚したんだか・・・」


「口の悪さとドSなのはあんたも同じ。ルミの方がお父さんに似てる。何で結婚したかなんてお父さんがあたしに一目惚れしたからに決まってるでしょ!」


やっぱりお母さんは柏木家の独裁者です。
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