蒼空Letter

「あんたさ、そろそろ言わなきゃダメじゃない?」


プリンの殻瓶を片しながら明日香が言った。


「わかってる。でも・・・怖い。拒絶されるのが怖いんだ」


「ま、普通の男は引くよね?確かに。あたしも目の前で倒れられた時、ウソでしょ?って思ったもん」



中学の時、病気の診断を受けてから体育が出れなくなった。

みんながバレーボールをやっているのを羨ましい気持ちで見ていた。

ほんの2ヶ月前にはあたしもこの輪の中にいて普通に笑っていた。


体育が出来なくても、今みたいにジャージすら持っていないってワケではなかったから、少しでもみんなといたくてジャージを着て見学をしていた。


ボケっと見てるあたしに気が付いて明日香が駆け寄ってきた。


「ルウコ、楽しいから一緒にやろうよ。ジャンプとかしなきゃ大丈夫なんでしょ?」


病気の深刻さはわかっていたけど、ついこの間まで出来なくなるって事が理解出来なくてあたしは明日香の誘いに「うん」と喜んでしまった。


予想通り、ちょっと飛び跳ねたくらいであたしはぶっ倒れた。


救急車で運ばれる中、ボンヤリとしか意識はなかったけど、明日香があたしの手を握りながら「ごめんね」と泣きながら何度も繰り返してた。


(何か言わないと明日香が可哀想だよ・・・)


そう思って出た言葉。


「明日香?バレー楽しかったよ。誘ってくれてありがとう」


笑って言ったつもりだけど明日香は益々泣いてしまった。




そんな明日香の言葉は的を得ている。

目の前で見てるから。


ソウちゃんはそれに耐えられるとは思えない。


普通の男の子が耐えられるワケがないんだから。
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