蒼空Letter

音がしないように屋上のドアをそっと開けた。

フェンスに寄りかかって多分、手紙を読んでいるソウちゃんの背中。


しばらく様子をみた。


手紙を封筒にしまってからカバンに入れている。

相変わらず背中を向けたままだけど。

それから、上を見上げてため息をついた。


「・・・・・・・」


何か言ったけど、この距離からは聞こえない。


(何を言ったのかな?)


何だか疲れたようにフェンスにもたれかかった。


どうしよう・・・。

あたし言わなきゃダメだよね・・・?

いつまでもこんな嘘がバレないワケがない。

毎月休むのなんておかしいもん。


それに入院したから、再来週は1日検査入院だ。

「法事」って事で誤摩化すつもりだけど。ってメールで言っちゃったし、「再来週は法事で早退して次の日休むんだ」って。


「そうなんだー」って普通に返ってきたけど。



怖い、知られるのが怖い。

知っていなくなるなんてあたしの中じゃ有り得ない。

だから自分からは怖くて言えない。



でも、聞かれたら言わなきゃ。

言わない方が苦しいもん。


そう決意して、深呼吸して、いつもの様にしよう。


「ソウちゃん」


あたしは背中に声を掛けた。
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