蒼空Letter
水族館が予想より混んでいてパンフレットの予定を見た。
「イルカショーが10時からと14時からだって。今、9時半でしょ?14時のイルカ見れるかなー?」
あたしが不満気に言うと、「最初に見る?」と言われた。
「最初にイルカ?でも、子供いっぱいいてイルカに触れないかも」
「子供の中にオレらがいれば目立つから意外に触れるかもよ?」
でも、普通は子供優先にするじゃん。
納得いかないあたしにソウちゃんは笑いながら言った。
「もう一番前に座って『触りたーい!』ってアピれば?一番前だから目立つよ」
ソウちゃんの提案であたし達はイルカショーを先に見る事に決定。
さっさとショーのステージに行って席を確保しようとする。
「あ、一番前だけスカスカ」
子供連れの家族がいっぱいいるけど、みんな後ろを占拠している。
「な?一番前は目立つからいいじゃん」
ソウちゃんが得意そうにイルカがよく見えそうな真ん中の前へ向かう。
なぜかビニールシートが置いてあって、更に席にはカッパ。
「何だろう?これ」
あたしは席にあるメモを拾って読んだ。
「えーと、ここは水しぶきが上がるのでカッパを着用して下さい。だって」
「カッパなんてダサくて着れねーよ」
とりあえず、手にカッパを持って席に座るとちょうど10時。
『これからイルカショー午前の部が始まります』
とアナウンスの声。