蒼空Letter

バッシャーン!!

「うお!!」「キャア!!」


『はーい!そこのカップルのお2人ー、カッパはなかったかなぁ?』


イルカショーの進行役のお姉さんがマイク越しに言った。


あたしとソウちゃんは顔を見合わせる。


あたしは前髪から、ソウちゃんはキャップからポタポタと水滴が落ちる。


(こういう意味のカッパ!?知ってるからみんな後ろにいるの!?)


『ちゃんとカッパを着ないとイルカ君達がイタズラいちゃいますよぉ』


周りからは笑い声。


「こういう事かよ」とソウちゃんが言って、2人で慌ててカッパを着た。


カッパを着て被害は何とか髪が濡れる程度に免れ、2人でイルカショーを見る。


カッパを着ているからまだマシだけど、3匹のイルカが元気に飛んだりくぐったり、その度にあたし達は頭から水を被る。


『このイルカ君達のお名前を紹介しまーす!』


「バカ、アホ、マヌケ」


ソウちゃんの言葉に「同感」とあたしは言った。



それでも愛嬌のある可愛い顔でクルクル回ってご挨拶をするイルカを見てると


「可愛いね、ソウちゃん」


と素直に思ってしまう。


「そうか?ビッショビショで最悪としか思わねー!」


水がかかりそうになる度にあたしを庇うからソウちゃんはズブ濡れ。


そんなソウちゃんを見てあたしが笑うとほっぺをつねられた。


デートって感じで楽しい!!
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