蒼空Letter
あの日はG・W明けだったけど、夏みたいに暑かった。
来週から夏服が解禁って時でセーラー服の袖をまくって授業中は下敷きをうちわ代わりにして暑さをしのいでいた。
(何か気持ち悪い・・・)
朝起きた時からそう思っていて、朝ご飯を食べなかった。
「食べなさい!」ってお母さんに文句を言われたけど、食欲旺盛なあたしでもパスするくらいにフラフラした。
多分、暑さのせいだろうと思っていた。
学校への道のりがひどく長く感じた。まるで足かせを付けられているように足が重かった。
何とか着いた学校で、友達に「ルウコ、顔色悪いよ?」と言われたけど、笑いながら「暑いからだよー」って答えたと思う。
確か、授業は古文だった気がした。
黒板の文字を書き写していたけど、視界がグニャグニャしてきて、ノートの字を見ると罫線からはみ出ていた。
(ちょっとヤバイかも・・・)
そう思った瞬間、心臓が急にバクバクと鳴り出した。
耳からは自分の身体の中の音が聞こえるくらい。
バクバクする心臓の早さはスピードアップしていく。
(どうしよう、何これ?先生に言えばいいの?)
パニクりながら、胸をギュっと抑えた。
ノートにポタポタと汗が落ちる。
暑さからくるものじゃない、脂汗だ。
バクバクの心臓はすごく痛みを増してきて、あたしは胸を抑えながら短く呼吸を繰り返した。
どうにか手を上げて先生に助けてもらおうと思ったけど・・・
ドクンっ!!
飛び出そうなほどの大きな心臓の音を聞いて、それから記憶は途切れた。