蒼空Letter
「楽しかったねー」
夕方、2人でファミレスでご飯を食べながらあたしは言った。
「イルカには酷い目に遭ったけど、うん、楽しかった」
ハンバーグを食べながらソウちゃんが頷く。
「あたし今日の事、一生忘れないよ!」
「大げさ!これから夏休みだぞ?いっぱい遊べるじゃん」
「そうだけど!今日の事は一生の宝物なの!」
「そう?それなら良かったけど」
だって・・・
「健康に見えるあたし」は今日が最後だから。
来週、検査入院をしたらソウちゃんに言わなきゃいけない。
これからは「病気のあたし」になっちゃう。
もしかしたら、ソウちゃんはあたしから離れてしまうかもしれないじゃん。
「ルウコ?」
呼ばれて我に返る。
「どうした?ボーっとしてるけど」
不思議そうな顔。
「ボーっとしてるのはソウちゃんでしょ!」と悪態をついてから聞いてみる。
「ソウちゃん、どんな事があってもあたしから離れない?」
「ん?何で急にそんな事言うの?」
「いいから!答えて」
あたしが真剣に言うと、困った顔をして言った。
「離れる理由ある?ないじゃん」