蒼空Letter

「また明日」と言って笹井先生は颯爽と去って行った。


しばらく病室に重たい空気が流れる。


それを打ち破ったのはルミの言葉。



「お腹空いたー」


その言葉にお父さんとお母さんが我に返る。


「ルミ、ごめん!コンビニで何か買って来ような?ルウコは何が食べた・・・」



『塩分と高カロリー』頭にそれがよぎったんだと思う。

お父さんは財布を持ったまま途方に暮れている。

そしてあたしも何も言えない。



「ルウコ、好きな物食べなさい」


お母さんがいつになく優しい声で言った。


「いや、でも笹井先生がダメだって言ったじゃないか」


お父さんは慌てて言ったけど、お母さんはポロポロと涙を流しながら首を振る。


「これから食事制限始まるのよ?この子まだ13歳よ?一生好きな物を食べれないかも知れない。明日からは食べれないんだからコンビニだろうが何だろうが好きなもの食べさせてあげてよ。最後くらい」



お母さんがこんなに泣くなんて『柏木家』では有り得ない。


お父さんとルミが買い物に出かけた後、あたしは自分の母親をマジマジと見た。
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