蒼空Letter

ソウちゃんにおねだりをして子供の頃のアルバムを見せてもらった。


アルバムの中のソウちゃんはなぜかいつもボールと写っている。


「何でボールがいつもそばにあるの?」


「え?そういえばそうだな・・・何でかな?わかんない」


小学校に上がる頃にはおもちゃのボールがサッカーボールに変わっている。


ソウちゃんはお父さんが美容師さんだけあってちょっとオシャレな小生意気な髪型。その横に映っている坊主頭の子犬のような笑顔は・・・。


「これ、幹太くん?」


「そう。この頃の幹太のあだ名は『お坊さん』。」


思い出し笑いをしながら教えてくれた。


小学校4年生の写真らしい。


『○○少年サッカークラブ』という横断幕をみんなが持っていて、トロフィーを持っているのは「お坊さん」な笑顔いっぱいの幹太くん、その隣に仏頂面のソウちゃんがいた。

この時から7年経っているけど、少し大人になったくらいで表情は変わらないらしい。

いつもニコニコ笑顔の幹太くんと妙に冷めたソウちゃん。

10歳なのにもうその雰囲気が出ている。


「ソウちゃんって・・・」


「ん?」不思議そうにあたしを見た。


「生意気そー!!後ろから叩いてやりたいよ、この顔」


「あっそ」と言うその表情が10歳の頃と全く同じで笑ってしまった。



そんなあたしも人の事言えないくらいに生意気そうな顔だったけど。

自分の子供の頃の写真を見てルミと間違った事があった。

ソウちゃんが瑠璃さんとそっくりな様に、あたしとルミもそっくりって事。

血の繋がりって不思議だな・・・なんて思ってしまう。
< 195 / 427 >

この作品をシェア

pagetop