蒼空Letter
「手伝う」というあたしの申し出はソウちゃんと瑠璃さんにあっさり断られて、
ダイニングテーブルには次々と和食が並んだ。
ソウちゃんのお父さんが欠伸をしながら家に戻ってきて、あたしを見るとちょっとはにかんで「いらっしゃい」と言った。
ウチは両親共にスーツだから、ジーンズにチェックのネルシャツを着たお父さんがひどく若く見えた。
まぁ・・・茶髪だしね。ソウちゃんと同じ色の髪。
年齢不詳な感じがするお父さんはさっさと缶ビールを出してプルタブを開けた。
「あたしも飲もー」と瑠璃さんが冷蔵庫からビールを出すと、「オレも」とソウちゃんが手を挙げた。
「うっせー!未成年!!茶でも飲んでろ!」
瑠璃さんがつく悪態は明日香っぽい感じ。
小柄で可愛くて21歳には見えないからソウちゃんと双子みたいだけど、雰囲気がどこか明日香に似ていて安心する。
初めて見る彼氏の「家族」と一緒にご飯。
(あ、味が薄めだ・・・薄味の家庭なのかな?)
と食べて思ったけど、周りを見ると全員見事なまでに醤油を使っている。
不思議に思ったけど、箸を動かすあたしを全員が興味津々で見ていて恥ずかしなった。
「見てたら食えないだろ?」
と隣でソウちゃんが言ってくれて、ルミが騒ぐ食卓とはまた違う賑やかさになった。
「お母さんがジロジロ見すぎなのよ!」と言う瑠璃さんに、
「こんなキレイな子見た事ないんだもの、お人形さんみたいよねー。あ、ほら、お父さん照れちゃってる」と豪快に笑うお母さん。
ニヤっとだけしてあんまり喋らないお父さんにソウちゃんは似ているのかな?
ご飯を食べ終わって「ご馳走様でした」と言うと、お母さんがちょっと心配そうに言った。
「味、大丈夫だったかしら?」
言われて「え?」とキョトンとしてしまう。