蒼空Letter
同じクラス
そんな「死刑判決」を受けて4年目の春。
「2年生はクラス替えがあるんだろ?楽しみだな!」
朝食の時間。
高2になった日、お父さんが笑顔全開であたしに言った。
「そうだね・・・」
あたしは言葉少なめに牛乳を飲んでいる。
病気になってから『格差婚』の冷えきった我が家は嘘みたいに明るい家族ごっこをしている。
大人しいお父さんがバカみたいに元気でお母さんは終始笑顔。
『全てはルウコが死ぬ前に』
暗黙の了解が柏木家をバカ家族に変身させた。
人から見たら微笑ましい家族。
でも、それは全てあたしの病気が中心で『悔い』がないように演じてるだけの仮面家族。
気付かないのは小学生の妹だけ。
今日もお母さん好みのフリフリの服を着せられて学校へ行くみたい。
あたしも病気になるまではお母さんの少女趣味に付き合わされてそんな格好してたけど、『死神』が宿ったあたしには何だか馬鹿馬鹿しくて、たまたま雑誌で見た『ロック女子』って特集の妙にゴツいアクセとか、ドクロがついた服とかに目が行ってしまい、今はそんな服装ばっかりしている。
『死神』を自分から取り込んでやろうか、っていう下らない反発心。
でも段々そんな格好の自分が好きになって、聴く曲のロックになって、茶色く染める予定だった髪はあえての黒髪。
耳には男の子が付けそうなゴツいピアス。
それでも『柏木さんって清楚だよね』って言うアホな考えの人間を完全にバカにしているあたしがいる。
「去年は少し休みがちだったけど、今年は元気に過ごしたいよな!」
お父さん・・・、それ間違ってるよ。
『今年も死なないで過ごせればいいな』
そう言いたいんでしょ?