蒼空Letter
ミサちゃんの乱心も落ち着いて、カラオケに行く事になり、今カラオケボックスの部屋の中。
「何歌おうかなー?」
「てめぇ、明日香!オレが一番だよ!!」
「何言ってるの!一番はミサ!!この美声が最優先でしょ!」
3人がリモコンを取り合っている間、あたしとソウちゃんは無言でジュースを飲んでいる。
ソウちゃんは歌本をパラパラとめくっているけど・・・
(あたしカラオケって生まれて初めてなんです・・・)
だって、みんながカラオケ行ったりゲーセンで遊んだりなんだりをする年頃には既に病気が勃発していて、1ヶ月入院して退院したら何でも「ダメ」ばっかりでロクに遊んだ事すらない。
カラオケは病気には無関係だろうけど、合唱以外で歌なんか好きなロックの曲を風呂場か部屋で1人で歌った事しかない。
そして、歌声は多分「音痴」の部類に入る。
これって、多分順番で回ってくるんでしょ・・・?
『あたしはパス』ってかなり空気読めない人間扱い受けるよね?
そして、ミサちゃん。あなた見た目とのギャップすごすぎですよ?
(ど、ど、どーしよー!!!)
何だか冷や汗が出てくる。
心臓もバクバクいってるし。
(ん?心臓がバクバク?)
そっと自分の胸に手を当てる。
「これって・・・」と呟くと同時に「ルウコ」とソウちゃんに声を掛けられた。