蒼空Letter
「歌わないの?」
歌本を渡そうとしているけど、首を振った。
「あたし、実はカラオケ苦手で・・・。ソウちゃん、どうぞ。歌って」
「そうなの?オレも実は苦手」
とニッコリ笑った。
あたし達はとりあえず3人が順番に歌っているのを見ていた。
ミサちゃんが明日香の歌を横取りするのを笑ってみてたり、幹太くんが何でラップの曲にかかんに挑むのかの謎にも笑ったり。
ソウちゃんと2人で笑いながらみていたけど、
さっきからバクバクしている心臓は変わらない。
でも、どこか具合が悪いとか息苦しいとかは全くない。
(発作では・・・ないよね?)
こんな症状で発作になった事ないし、大抵は酷い貧血とか息切れとかからだし。
考えててもしょうがない。
違うんだから違う。
ジュースを飲み干すと、ソウちゃんのコップが空になっているのが見えたから席を立ち上がった。
「ソウちゃん、何飲む?」
振り返ってソウちゃんを見た、
つもりだった。
「ルウコ!?」
ってソウちゃんの叫ぶ声が聞こえて視界が真っ暗になった。