蒼空Letter
『高校生の頃が一番楽しかった』
よく大人が口にするけど、高校入学時のあたしにはそんな風には思えなかった。
友達とは馴染めないし、大体病気だから在学中に死ぬかもしれないと思っていたから。
健康なコを見ては自分と比べて、幸せそうに見えて、憎らしいという感情を通り越して『あたしはこんなモンでしょ』と16歳にして人生を諦めていた。
今、隣でニコニコと笑っているこの人が現れるまで。
ソウちゃんを初めて見かけて恋をして、そして今『恋人』として当たり前に側にいるのがまだ不思議。
そしてソウちゃんと過ごすようになってからの高校生活はあっという間だった。
何でも身体の事を考えて行動しなきゃいけなかったけど、それでもすごく楽しかった。
時々、無理をしすぎて発作を起こしたりしたけど何とか命はまだ繋がっている。
それはソウちゃんが側にいるからなんじゃないかな?
あたしはそう思っている。
あたしのワガママで書いてもらっている手紙がもう50通近くある。
部屋の手紙を入れる箱には色んな種類の青い封筒がビッシリ入っている。
マジメな内容だったり、適当な5行くらいで終わる手紙だったり・・・
とにかく青い手紙はあたしの高校時代の大事な思い出。
そしてこれからも続く大事な宝物。
「高校生活は楽しかったか?」と聞かれれば、あたしは即答出来る。
「すごく楽しかった」と。
これからは離れて過ごす時間が多いし、不安もいっぱいあるけど・・・
「ん?」鏡越しに首を傾げて優しくあたしを見つめる笑顔はこれから先もずっとあたしだけのものだ。