蒼空Letter

ドキドキしながら2組の教室に入ると、彼がいた。

机に座って何か楽しそうに話をしている。


「お、中川 幹太(なかがわ かんた)も一緒なんだ」


明日香が言った。

彼といつも一緒にいる男の子。確か、あの人もサッカー部。


「知ってる?中川は高柳の相方。小学校からずーっと一緒なんだって」


「そうなんだ・・・。だからいつも一緒なんだ」


「高柳攻略には中川から攻めてみれば?中川って能天気で話やすいよ」


「え!?無理!!別に他の人とかどうでもいいし」


また明日香がニヤけている。


「そーんなに大好きなんだ、高柳の事。告白すればいいじゃん」


「絶対無理〜。振られてあたし登校拒否になるの目に見えてるもん」


ため息混じりで言うと明日香が爆笑した。


「ルウコに告られて断る男いるワケないじゃん。あんた鏡見た事ないワケ?」


「だから、買い被りすぎだって。あたしモテないし、性格悪いの絶対顔に出てる」


「ルウコが性格悪い?あたしは思った事ないけど?」


「それは明日香だからそう思うだけ。現にあたし友達すらいないじゃん」


「まぁ・・・、確かに。あんたって『綺麗すぎて近寄りがたい』ってみんな言うね。男も女も」


「ほら。性格の悪さが出てるからだよ」


明日香ってサバサバしてて美人で人に嫌われない。

本当にあたしの親友は羨ましいくらい、あたしにないものばっかり持っている。


明日香だったら彼も付き合うだろうな・・・。


そう思うとちょっと悲しくなってきた。
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