蒼空Letter
婚姻届を区役所に出すと
「おめでとうございます」
笑顔で言われて余計にニヤニヤしてしまう。
「ありがとうございます!」
あたしが元気に言ってるのに、横でソウちゃんは指折りしながらまたブツブツ。
「家電搬入して、式場で打ち合わせして・・・、夜は両家で飯食って、明日は幹太と明日香と飯・・・。予定詰め過ぎ!!」
「ちょっとぉ、お礼言ってよ。おめでとうって言ってくれてるんだよ」
「え?あぁ、ありがとうございます。じゃ!ほら急ぐ!」
適当なお礼を言ってあたしの手を引っ張る。
あたし達の新居は22歳になったばっかりの貧乏な『NEW高柳家』の為に、両家で負担して買ってくれた中古の3LDKのマンション。
場所はややソウちゃんの実家寄りだけど、ちょうど両家の中間くらいな場所。
まぁ、ソウちゃんの職場は実家だから近いにこした事はない。
駅も近くてスーパーとかも近いから不便ではないけど、妊婦のうちにあたしは車の免許をつわりと戦いながら取ってしまった。
お母さんのお古の軽自動車をもらえて、車移動が多くなる。
これからは子供もいるから車はあると便利だし。
ソウちゃんの車に乗って、マンションへ行く中あたしは聞いてみた。
「ねぇ、旦那さん。何て呼ばれたい?」
「旦那・・・!・・・まぁ旦那だよな、オレ。何て呼ばれたいって?誰に?子供に?」
「違うよ!あたしに。あたしの事、外で「カミさん」って言うの?」
「カミさん?『ルウコ』って言うんじゃない?多分。それか『嫁』かな?ルウコも今更オレの事、他の呼び方出来るの?『ソウ』とかさ」
「無理だな、『ソウちゃん』だね。でも『嫁』って言われるの嬉しい」
「ふーん」って興味なさそうに言ってるけど、耳赤いですよ!旦那様。