蒼空Letter
「そうか、親父は嫌だな。でも『パパ』ってキャラでもねーし・・・」
「何で?パパでいいじゃん。あたしは『ママ』って呼んでもらいたいけどね」
「うーん、あんまり『パパ』って好きじゃないし。甘ったれたガキになりそうだからさ。無難に『お父さん』かな?」
意外だなー・・・、
ソウちゃんってめちゃめちゃ子供を溺愛しそうなイメージだったけど、実は結構『厳格な父親』タイプ?
結婚を決めてからソウちゃんの事、結構知らないって事が多い。
仕事ではストイックな所とか、結婚式なんて別にいいのに、
「するべきだ!」で妙にこだわったり。
結婚式はあたしもしたかったけど、お腹のデカさとか「デキ婚」だから急がなきゃいけないから無理だと思ってた。
でも、ソウちゃん曰く「女の子の一大イベントだからオレはどうでもいいけどするべき」らしい。
それには両家も賛成してくれて、チャペルにレストランが付いた教会で少人数で式を挙げる事になった。
「ヘアメイクはオレだな!」とソウちゃんパパが張り切って言ってくれておまかせする事にした。
来月の始め、あたし達は結婚式を挙げる。
今日からは「家族」として毎日同じ屋根の下で暮らすんだから、もっと知らない事がありそう。
もうあたしは「高柳 流湖」だけど、昨日までは帰りは別々の家に帰っていたのに今日からは同じ所に帰るってのが不思議な気分。
「お、式場の打ち合わせヤバイじゃん。ほら、出かけるよ」
コーヒーを飲み干してキッチンにカップを置いて、ソウちゃんはジャケットを羽織った。
「またお腹出たからなー、衣装困ったよね?来月にはもーっとデカイんだよ」
あたしもコートを羽織って出る用意をした。
「今日決めないとヤバイからね。デカイを想定して考えなきゃな」
あたしのお腹を撫でてソウちゃんが笑った。