蒼空Letter

「いいから着てみ?意外とそうでもないと思うよ」


言われて着替えてまず自分だけで確認する。


(あら?案外一番目立たないかも)


まぁ、お腹が出ているのは事実でわかりきってるけど、胸下の切り返しとドレープがいい感じでお腹をカバーしてくれている。


「これ、いい感じだよ!」


カーテンを開けてソウちゃんに見せると「うん、一番いいかも」と頷いた。


「あたしこれにするー!ソウちゃんありがとう!」


「いいえー、こちらこそありがとうございます」


笑顔で言われて「は?」と聞き返した。


「料金的にも助かります、そちらのドレスは。お似合いですよ?高柳さん」


結婚した事でわかった事。


ソウちゃんはあたしより経済観念がしっかりしてる。





式場の打ち合わせを終えて、柏木家に向かう。


今日、両家で結婚のお祝いでご飯を食べるけど、あたしの家で食べる事になっている。

理由は単純で、お父さんが寂しいってだけ。


車の中でソウちゃんが言った。


「その指輪、まだしてるの?もういいんじゃない?」


高校生の時にもらった指輪をあたしは未だにしている。

それはソウちゃんも同じだけど。


「式の当日まで外さないの!この指輪は何より大切なんだもん」


ソウちゃんが初めてくれたメッセージが刻まれた指輪。

誕生日やクリスマスに買い替えようって何度か言われたけど、あたしはこの指輪以外する気が全くなかった。

結婚指輪は細くてすごくシンプルになる。
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