蒼空Letter
「ただいまー」
初めての『我が家』に言ってみる。
「誰もいねーじゃん、誰に言ってるの?」
靴を脱ぎながらソウちゃんが言った。
「ソウちゃんに言ってるんだけど」
「あ、そうなの?じゃあ、おかえりなさい」
靴を脱いだソウちゃんにギューっと抱きつく。
お腹が邪魔をしてピッタリはくっつけないけど。
「これから毎日『おかえり』って言うからね、『ただいま』も」
「うん。でも一緒に出かけた時も言い合うの?変じゃね?」
「言うの!言い合うの!これが我が家の決まりです」
あたしを抱きしめながら「はいはい」と答える。
交代でお風呂に入って、ソウちゃんが深夜のお笑いを見て笑っている。
笑いながらまたビール飲んでるし・・・。
それに先にお風呂出たのにまだ頭にタオル被ってる。
その姿は可愛いけど、寝る前のソウちゃんってほとんど知らない。
テレビ相手にこんなにゲラゲラ笑うんだ・・・。
お茶を持って隣に座る。
「ん?」笑いながらあたしを引き寄せる。
「面白い?」肩に頭を乗せて聞くと「すんげーウケる!」とまた笑っている。
あまりテレビを見ないあたしには、テレビに映る芸人が誰かわからない。
最初は黙って見てたけど気が付いたらあたしも爆笑していた。