蒼空Letter
「父ちゃん、お花が置いてあるねー。誰かがママに会いに来たのかな?」
花を入れる所にキレイな百合が飾ってある。
柏木家は明日くるって言ってたし、ウチの実家は今週だったはず。
「明日香かな?それとも幹太とミサか?」
幹太じゃとても選べそうもない女性らしい花だから明日香かミサが置いたとしか思えない。
「たまにあるよね?ママに会いたい人いいっぱいいるんだね」
嬉しそうにツナミが笑った。
それはボクにとっても嬉しい事。
昔の様にしょっちゅう会う事が出来なくなった幹太や明日香やミサがルウコを忘れないでいてくれるのは嬉しい。
子供が出来るとなかなか会う事も難しい。
幹太とは会えそうだけど、ボクにはツナミがいるし、幹太には双子がいるから仕事が終わると育児の手伝いだと言ってる。
幹太の子供がもう少し大きくなったらゆっくり飲めるかな?
キレイな百合の邪魔にならない様にガーベラとカーネーションとスプレー菊の花束を飾った。
カーナーションとスプレー菊は長持ちするから、花が大好きなルウコにはいいと思って買っている。百合も買うか悩んだけど、ガーベラに変えて正解だったみたいだ。
ツナミと墓を掃除して雑草を抜いてキレイにしてから線香を立てて手を合わせる。
ルウコ、今日もいつもの手紙を送るから読んでくれよな?
何だか気分的に寂しくてボクにしては情けない手紙になっているけど、どうか笑い飛ばして読んでほしい。
それから、たまにはキミの夢がみたいよ・・・。
夢の中でもいいから会いにきてくれよな。
待ってるから・・・。
目を開けるとツナミはもう終わったみたいで『天国の郵便屋さん』をキョロキョロと探していた。