蒼空Letter
下駄箱
『今日はお母さんに送ってもらうから先に学校行くね』
明日香にメールを入れて、本当にお母さんの車に乗り込んだ。
お母さんの職場って学校から15分くらいで着くんだよね。
「珍しいわね、ルウコが一緒に出たいなんて。それに学校にかなり早く着いちゃうけど?」
不思議そうな顔をしているけど、「課題昨日忘れたから早く行ってやらないと」と適当な返事をする。
うちの高校は運動部も有名だけど、一応並みよりちょっと上くらいの進学校。
だから課題って本当にいっぱい出る。
「まぁ、ルウコの成績も悪くないし課題をやりたいからって早く登校するのはいい事だと思うけど、無理だけはしないでね?この間の検査も気になるし」
「はいはい」
お母さんの心配は耳が腐るくらい、笹井先生より聞いている。
「最近、外食とかしてない?大丈夫?」
(本当にウザイ・・・)
「してないよ。でもたまにしてもいいと思うけど。薬あるし、明日香とだし」
「明日香ちゃんなら別にいいけど・・・」
この口うるさいお母さんにちょっと意地悪してみたくなった。
「お母さん、あたし好きな人いるんだよね。片思いだけど、付き合えたら賛成してくれる?」
しばらくシーンとした車内。
「な、何言ってるの?ルウコは身体の心配しなさい。恋は別にしてもいいけど、ルウコの病気の事わかったら相手の子困るでしょ?」
やっぱりね・・・。予想通りの言葉。
身体の事を思っているから今日行動するんだから。『悔い』のないように。
そう思っていると学校へ着いた。