蒼空Letter
あたしには彼に声を掛けるなんて勇気はまるでなくて、こうして同じ授業を選択して、同じ空間にいられるってのが精一杯。
でも、あたしは幸せ。
斜め前のダルそうに欠伸をしていて、そろそろ机に突っ伏して寝そうな彼を見ているだけですごく幸せ。
そっと見ているだけで・・・。
彼がふいに後ろを振り返った。
(え!?)
バッチリと目が合ってしまう。
そりゃそうか、だってあたしはさっきから彼をガン見しているから。
(ど、ど、どうしよう!!)
目が合った彼はキョトンとした顔であたしを見ている。
こういう時ってどうすればいいの!?
頼みの明日香はあたしより後ろの席。
「・・・・」
彼はあたしを見たまま何も言わない。
生唾を飲み込むゴクンという音が自分喉から聞こえる。
心臓も一気にドキドキからバクバクに加速する。
彼が口を開こうとした時、
「ソウ!ちょっとコレ見てみろよ」
彼の後ろの席の男子が彼に声を掛けてしまった。
「え?何?」
彼もその声につられて目線を外してしまう。
あたしは悔しくてギュッと拳を握りしめた。