Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
「あたし、告白されたことなんて一度もないよ?」
「は? 何言ってんの! 入学したから何回も呼び出しかかってたじゃないっ!」
大きな目をさらに大きくして驚くゆーちゃん。
目…、落ちてきそう……。
「ゆーちゃん勘違いしてるよ。確かに、付き合ってとは言われたけど、そういうのじゃなくて…。ただ買い物に付き合ってって意味だったし」
「はぁあっ!?」
さらに大声で叫ぶゆーちゃんに、思わず耳をふさいでしまった。
なんで!? 今あたしなんか変なこと言った?
呼び出されたときのことを話しただけなんだけど…。
「さゆ、あんた鈍感すぎ」
「ほえ?」
間抜けな声で返事をする。
「その男の子たち、さゆに彼女として付き合って欲しかったんだと思うよ? 買い物って…さゆが勝手に思ってるだけだから!」
「えっ…?」
何を言われているのか全くわからないあたし。
その横で、可哀そうに…とかブツブツとゆーちゃんがつぶやいていた。
「そろそろ自覚しなさいよ。さゆ、この学園で一番の美少女で有名なのよ? 姫って呼んでる人たちもいるみたいだし」
ひ、姫!? あたしがっ!?
あり得ないでしょ。だってドブスだし。
学園のお嬢様方から毎日のように言われてるから、肝に銘じているんですよ。
自分が救いようのないブスってことくらいね。
それに、学園一美少女なのはゆーちゃんでしょ!
ゆーちゃんこそ自覚したほうがいいよ。
街へ出ればモデルや芸能事務所のスカウトの嵐。
ただでさえ目立つのに、でかけるときはいつも化粧してるから、いつもの2倍…いや、3倍は色気が増す。
ゆーちゃん、街へ出るときくらいスッピン&変装で来てって言ってるのに…!
あなたを男どもから守るのは大変なんですよ、はい。