Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
――竜哉side――
どうも、桜庭竜哉です。
俺は、日本の経済の大半を担う大財閥、桜庭財閥の御曹司なんだ。
現在の社長は俺の親父、桜庭修也(さくらばしゅうや)。
副社長は俺の母さん、桜庭麻里子(さくらばまりこ)。
まあ、俺が高校生になってからというもの、親父と母さんは仕事そっちのけで、遊びまくってるし、実質俺が社長って言っても良いくらいなんだけど。
二人がいないときは、俺が仕事を任されてるからな。
最近では酔った勢いで、親父に「お前がこの会社の社長だ!」なんて言われたこともあるくらいだし。
あの時はさすがにビビったけど、だぶん本心じゃないだろう。
……いや、あの両親のことだから、本気かもな…。
そんな家の権力を使って、中学のころの俺は最悪だった。
暇さえあれば女と会って過ごしたてた。
反抗期ってヤツ?
仕事の手伝いはちょくちょくしてたから、親たちから厳しく注意されることもなかったしな。
そして、いつからだったか…。
俺は、親父が俺のためによこした、専属メイドを落とす賭けを始めた。
通称、"メイド落し"。
賭けって言うのは、メイドが俺に落ちるかどうかを賭けるというもの。
簡単に言えば、俺に落ちるか落ちないかってこと。
そして、俺に落ちて"好き"だと告白してきた時点で、賭け終了。
次の日には親父が違うメイドを用意する。
これが、あたり前の俺の生活になっていた。
俺が負けることなんて一度もなかった。
最短で1日て落ちたヤツもいたっけ…。
ホント、バカな奴ら。
ちょっと優しくしただけで、好きだと勘違いする。
この遊びもだんだん飽きてきたな…。
と思っていた丁度そのときだった。
――白石紗柚菜が現れたのは……。