Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
パッチリ二重の大きな目に、付け睫毛をしているようなバッサバサの睫毛。
ツヤツヤの栗色の髪は、胸の上ぐらいのセミロングで、頬の下あたりまでゆるく巻いている。
小さな唇は桜色をしていて、とっても無防備だ。
誰が見ても一目瞭然の、美少女。
彼女が学園の姫と呼ばれていることも知っていた。
だから余計面白いと思ったんだ。
俺は、自分がモテることを自覚してるし、今回も簡単に落とせると思ってた。
なのにコイツは……。
「あたし、あなたの事嫌いだし」
そう言った。
目と目が合えば恋に落ちる、とまで言われているこの俺に、宣戦布告したんだ。
最初はただの強がりだろうと思ってたけど、コイツの目がいつもの女たちとは違った…。
ホントに俺のこと嫌いなんだ。
そう思った瞬間、本気で俺のものにしたくなった。
…最後にしたキスは、あの上目遣いに、俺の理性が保てなかっただけなんだけどな…。
他の女なら気持ち悪い、と思うはずの上目遣い。
コイツのはなんか違って、不覚にも可愛いと思ってしまった…。
ヤバいな、俺……。
完璧ハマっちゃったかもしれねぇ。
まあ、落せば良い話なんだけど、今回はそう簡単にはいかないっぽいし。
桜庭竜哉、本気でいかせていただきますっ!!
―――で、現在。
俺は屋上で気持ちよく寝てたのに、あいつの叫び声で起こされた。
昨日も仕事で全然寝れてないのに、昼寝を邪魔されて俺の機嫌は最悪。
しかも起こされたのは、俺専用のメイドになるはずのアイツ。
今は賭けの途中だから、専属としてではなく、普通の使用人としてウチで働いているんだけど。
どっちにしろ、この俺を起こしたんだ…。
ちゃんとお仕置き…しないとな?