Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
長い、激しいキスに、あたしの意識は途切れる寸前。
もう立ってるのが、やっとのくらいだ。
ヤバい…、さすがにもうヤバイ……。
紗柚菜ちゃん、限界です……。
―――ガクッ…
「…おっと。ったく、だから倒れんじゃねーって言ったのに。しかもキスだけで気絶って……。やっぱ面白いヤツ……」
フッと笑う悪魔をかすかに残ってた意識で見た。
でも…あれ?
見えたものは、悪魔っていうより、天使だったような……。
曖昧な記憶を残し、あたしは意識を手放した。
―――――――――――――――
「――ん………」
少し眩しい日差しを感じ、ゆっくりと目を開ける。
白い天井と、かすかに鼻をくすぐる消毒の匂いに、あたしは保健室にいるんだと自覚した。
…あれ?
でも、なんで保健室にいるの?
さっきまで屋上で―――……。
「やっと起きたか……」
聞き覚えのある声。
その声を聞いた瞬間、もうろうとしていた意識がいっきにはっきりとする。
声のする方に目を向けると、そこにいたのはやっぱり―――……。
「俺のキス、そんなに気持ち良かったか? 意識を失うくらいに」
悪魔の笑みを浮かべる、桜庭竜哉だった。
…キス?
「……っ!!」