Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
プッ……。
やっぱ面白いな、アイツ。
でも、もう少し自分の容姿の良さに気付いてくれると、助かるんだけどな。
ほら、今だって紗柚菜を見て顔赤くしてる奴らが何人も。
…まあ、負けるつもりは一ミリも無いんだけど?
さっきおぶって運んだときに思ったけど、アイツ胸デカイよな…。
いつもは制服で隠れてるからわかんなかったけど、C…いや、D以上はあるか?
てか、いまだに口開いたままだし。
いつまでアホ面してんだか。
「待たせたね、白石さん。さあ、行こうか」
「……えっ!?」
「「「キャ―――ッ!!」」」
紗柚菜の肩に手を回しグイッと自分に引き寄せる。
女子からは悲鳴が上がり、紗柚菜は大きな目をさらに大きくして驚いている。
「ちょっ…離してよっ!」
肩に回している俺の手を引きはがそうとする紗柚菜。
めいっぱいの力を出してるようだけど、俺には通じない。
それに、この俺から離れようとするなんて100年早いんだよ。
「ジッとしてろ。またお仕置きされたいか?」
「ひゃッ…!!」
「「「キャ―――ッ!!」」」
耳元で囁くと、紗柚菜の力が抜けた。
…ふぅん、コイツの弱点って耳か。
良いこと知ったな。
耳まで真っ赤にして、縮こまる紗柚菜。
今度じっくり攻めてみっか!
紗柚菜を自分に密着させたまま、車を回してある玄関まで向かう。
車の隣には、すでに小野塚が立って待っている。
「竜哉様、紗柚菜様、お疲れさまでした。さあ、どうぞ」
車のドアを開け、笑顔で俺たちを迎える。
小野塚は、代々桜庭家に仕える使用人だ。
特にコイツは超一流。
なんでも嫌な顔一つせずこなすんだ。
だから、俺はそんな小野塚に甘えてしまう。