Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
「ハァ――……」
自分を落ちるかせるためにも、少し長いため息をつく。
あ…ため息をついたら幸せが逃げちゃうんだっけ?
「ス――ッ…」
ふとそんなことを思い出し、今度は思いっきり空気を吸い込む。
「…お前、なにしてんだ?」
「えっ!? …あ、いや…なんでも」
なんでこういう時だけ見てんのよっ。
さっきまで窓の外見てたそがれてたじゃんか!
チラッと桜庭竜哉の方を見ると、また窓の外を見てぼーっとしている。
…疲れてるのかな?
さっき女子に囲まれてたけど、コイツの性格上騒がれるのって嫌いだろうし。
仕事も大変そうだしね。
結局、家に着くまでに桜庭竜哉が話したのはあの一言だけだった。
小野塚さんのテンションも、相変わらずMAXだったしね。
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次の日の朝も、桜庭竜哉は昨日と同じで…。
小野塚さんに学校まで送ってもらったけど、昨日と同じように窓の外をただ見てるだけ。
どうしたんだろう?
また何かされるんじゃないかって、身構えてたのがバカみたい。
あんなの、いつもの桜庭竜哉じゃない。
あれじゃあ、王子にもなれないはず……。
「「「キャ――ッ!!」」」
「竜哉様――♥」
「おはようございますぅー♥」
「おはよう、みんな。今日もきれいだね」
「「「キャ――ッ!!」」」
……じゃなかった。
完璧に王子になってますよ…。