Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~
ダダダダダッ。
猛ダッシュで部屋に戻り、もう一度テーブルにあった手紙を確認する。
マンションの事なんてどこにも書いてない!
あ~け~みぃいいっ!!!
(ちなみに明美とは、ママの下の名前だよ)
海外旅行よりもマンション追い出される方が重要内容じゃん!!
なぜ行く前に伝えない?
なんで娘のあたしに一言もないのぉおお!?
中学生くらいから、ママのことはなんとなく変わってるなぁって思ってたけど、ここまでとは……。
――パパよくママと結婚する気になったな…。
ちょっと尊敬するわ……。
…そしてときは止まることなく流れ、あたしはマンションを追い出されることに。
「大家さん、長い間お世話になりました」
ママが色々迷惑をかけたこともあり、深々と大家さんに頭を下げる。
「いえいえ。それよりごめんねぇ、突然出てけなんて…」
「いえ、悪いのはママなんで大丈夫です。じゃあ…」
…さてと。
まずは住むとこを探さなきゃだし…。
仕方ないっ、ママが残した地図のここって所に行ってみますかっ!!
「……って、ここどこ――っ!?」
どうやらあたしは、道に迷ってしまったらしい。
ママの地図を頼りに来たはずなのに、辿り着いたのはなぜか細い抜け道のような場所。
あたしってこんなに方向音痴だった?
…いやいや、そんなはずはない!
そうだ! ママの地図が悪いってことにしておこう!
はい、決まりっ!
あたしは方向音痴じゃありませ~んっ!!
…とりあえず、この道抜けてみよっと!
「…でかぁ。やっぱり道間違えた?」